皆さんはジュゴンを食べたことはありますか?
スラム街や紛争地帯などに赴き
現地での食について体当たりで調査し
極限の「生」と「食」にフォーカスした
名著「もの食う人びと」
著者は芥川賞受賞作家の辺見庸さんで
「もの食う人びと」は
1994年に講談社ノンフィクション賞を受賞しました
「もの食う人びと」の中で、
「肉の王様」
として称されたのが「ジュゴン」です
「ジュゴン」のエピソードに触れながら
「もの食う人々」の魅力のかけらをご紹介します
人魚を食う
ジュゴンは人魚のモチーフにされていることで有名です
ジュゴンの数は乱獲や密漁によってその数を減らしています
主な主食は藻で、環境の変化から数を減らしているとも
ジュゴンは日本にも生息しており、
沖縄諸島でも確認されています
ジュゴンの伝説は多く、
その肉を食べて不老不死になる
涙を相手に飲ませると惚れ薬になるなど
「もの食う人びと」では
マニラで
「人魚を食べている人がいる」
という情報を得て
「肉ありその色は朱のごとく美味なり、仁羹(人魚の肉)と名づく」
という言葉を思い出し、一度食べてみたいと思った著者
人魚を食べるべく現地へ赴きます
マニラから南のトルダ島へ到着し、島民から話を聞く
すると
2カ月前に入り江に迷い込んできたジュゴンを捕まえ
島民全員で食べてしまったそう
島民曰く
皮から内臓まで全身がうまい、骨までうまく、残すところがない、「羊よりイルカ、イルカより豚、豚より野豚、野豚より牛、牛よりジュゴン」ジュゴンの味は牛に似ているが、牛より臭みがなく、そしてミルクのようなほのかな甘さがある
とのこと
結局、島には乾燥肉の一つも残っておらず
著者はジュゴンにありつくことはできませんでした
現地から離れてだいぶ経ったころ、
「ジュゴンが手に入った、冷凍してある」
という連絡を受けます
しかし、著者は、想像の中の至高の味が失われるのを恐れ、行かなかったとのこと
まとめ
結局、著者はジュゴンを食べることができませんでした
捕獲した際には罰金もあり、なかなか公にはできないため、実は食べていたのかもしれませんが、、、(笑)
クジラを食べている日本人は
外国の人から見たらジュゴンを食べているように見えるのかな
なんて思いながら
「食」と「生物保護」を考えさせられます
そのほかにも本書には
「食」を通して、放射能汚染地域のチェルノブイリでの汚染食や
貧困地域での残飯を食べたり、紛争地帯で食べれない現実を日本人という立場で記しており、おすすめです